フリーランスや副業人材など外部人材と仕事を進めている担当者のみなさんの中には、「フリーランスとの意思疎通が難しい」とか「思うように動いてくれない」と悩んでいる方も少なくありません。
クライアント企業がフリーランスに仕事を発注し、さらに継続して関係性を継続していくには、どのようなコミュニケーションやマネジメントを心がけていけばいいのでしょうか。
もくじ
なぜ、フリーランスは扱いづらいのか?
フリーランスも特別な働き方ではなくなってきました。会社に勤めているみなさんも、2020年からの新型コロナウイルスの蔓延によって「テレワーク」「リモートワーク」が推進されている人も多いと思います。
PCひとつあれば、労働時間に拘束されず、ドコデモ仕事を進められるテレワークこそ、働き方だけを取り出せばフリーランスに近い働き方といえます。
たとえば、広告代理店大手の電通も、勤続20年以上の一部のベテラン従業員を対象にして、フリーランス契約にすると発表しています(2020年11月)。
会社員とフリーランスの境界線は、これから徐々にあいまいになっていき、大きく区別をできなくなっているといえます。「フリーランスだから、部外者であり、扱いづらい」という話では片付けられなくなっている時代なのです。
単純に働いている場所が異なるので、こちらの意思を伝えたり、相手の意思を受け取ることが少し難しくなっている。そこが、コミュニケーションやマネジメントの難しさにも繋がっています。
それでは、具体的にフリーランスや副業の方と上手く付き合うためにはどうすべきなのか、検討します。
業務に関する情報を明確に伝える
まずは、納品のために必要な情報や報酬などの条件について、誤解のないよう正確に、前もって伝えておく。それが外部人材に依頼するにあたって最も大切なことです。
フリーランスや副業人材の方々とは職場で密接につながって交流することがないので、何を考えているのがわかりづらく、付き合いにくいと考えている担当者が多いかと思います。
多くは、メールや電話、あるいはzoomなどでのオンライン会議システムを使ってやりとりするなどで、直接会う機会はあまりないかもしれません。
フリーランスの側も、特定のクライアントと密に付き合おうとする人は少ないかもしれません。
となると、やりとりの中で業務とは直接関係のない、季節や健康に関する話などを交えてきたり、担当者に積極的に質問してくるフリーランスは、仕事以外の交流も求めたい社交的な性格かもしれません。
しかしそうでない限りは、業務に必要な内容を正確に伝え、原稿料や報酬などを期日までに正確に支払い続けることが、フリーランスとの間でこれ以上ない信頼関係の構築方法だといえます。
共通して伝えるべきことは、マニュアルにまとめておく
クライアント企業の中には、たくさんのフリーランスを抱えていて、共通の業務マニュアルを作成してまとめていることもあります。
ただ、このマニュアルの品質も企業ごとに玉石混交なのがわかっています。担当者が変わったりするのがきっかけで、マニュアルを改訂するときに、ただ新しいルールを列挙しているだけで済ませている企業も少なくありません。
この場合は後の担当者がルールを改定し、そのまま付け足すことが多いです。そうなると、前のルールと新しいルールが継ぎはぎのようになっていて、フリーランスや副業人材など外部の人が読んだときに、マニュアルの全体像を把握できないことがあるのです。
たとえば、同じ項目でくくられていなければならないルールがバラバラに位置しているままだと、フリーランスに「読んでいなかった」という弁解を許すことにもなります。ですから面倒でも、担当者は新たなルールを整理して、適切な位置に配備するなどして、マニュアルを取りまとめる責任があるのです。
新たに外部人材に依頼する際にも、マニュアルが整っていればスムーズに業務を開始できますし、別の担当者に代わるときも、引き継ぎが円滑に回っていくはずです。
「管理する」という意識を持たないほうが、マネジメントは上手くいく
フリーランスで働いている方々は、どちらかといえば、誰かに指示され、管理されるよりも、自己判断で仕事を進められることのほうを望んでいます。
ですから、クライアント側が設定したルールやマニュアルで一方的に管理しようとすると、フリーランスとのやりとりが途端にうまくいかなくなることがあります。
また、冒頭で述べたとおり、やりとりの中でフリーランスの個性が見えてくることがあります。
最低限のドライなやりとりを希望している相手には、簡潔で正確な依頼情報のみを提供する。プライベートを含めた雑談や、お互いの称え合いなどを望んでいる相手には、その通りに合わせる。このほうが、全体のマネジメントとしては上手くいきます。
ルールを守らせることも大切ですが、「誰のためのルールなのか」に立ち返って、フリーランスの意見や立場を採り入れたルール改定にも柔軟に対応するようにしたほうが、長い目で見たときに外部人材の力を最大限に生かす結果となるはずです。