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フリーランス・副業人材を受け入れるなら、決して軽く見てはいけない「下請法」の基本

 

フリーランスや副業など、自社が雇用していない方に対して外注をするときには、業務委託契約を結んで仕事を依頼することになります。

その際にクライアントが気をつけなければならないのが、「下請法」という法律の存在です。

 

クライアントにとって、下請法とはどんな意味があるのか?

下請法は、正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といいます。

その名前の通り、仕事の外注(下請け)先であるフリーランスなどに支払うべき報酬などについて、支払い、振り込みが遅れたり、未払いが起きたりすることを防止する趣旨で作られた法律です。

 

クライアント企業とフリーランスは、本来は対等な契約関係です。

しかし、よほど売れっ子で引く手あまたの依頼が来るフリーランスでない限りは、ほとんどの場合、「フリーランスがクライアントに、仕事を求め、報酬をいただく」という、あまり対等でない関係性にあります。

 

つまり、

クライアント企業のほうがフリーランスよりも立場が上になりやすい

=知らず知らずのうちにクライアント側の要求が強くなり、フリーランスは不満があっても仕事を失うのが怖くて言い出せない

という状態に陥りがちなのです。

 

ひどい場合には、契約内容にない仕事を無償でさせたり、何度も繰り返し修正を求めたりと、クライアント側の力関係の強さに任せて、フリーランスに不当な仕事を強要することすらもあります。

正社員に対してあまりにも不当な扱いをすれば、ブラック企業として厳しく批判されます。しかし、フリーランスや副業で仕事を請け負う場合には、我慢し続けるか、訴えてもうやむやにされてしまうことがほとんどです。

 

ですが、いくら正社員のような雇用関係にない自由契約とはいっても、一方的にフリーランスを犠牲にして利益を搾取していい筋合いはありません。

そこで、クライアント企業とフリーランスの関係をできるだけ対等なものとしてバランスを確保するため、立場が強くなりやすいクライアント企業に法的な義務を課し、フリーランスを保護するため、下請法が定められているのです。

 

下請法が直接、適用される場面

下請法に従わない場合の罰則などが適用されるクライアント企業は、資本金の規模によって変わってきます。

適用されるのはクライアント企業(親事業者)の資本金規模に比べて、フリーランス(下請事業者)の資本金規模がずっと小さい場合です。おもに2つのパターンがあります。

 

パターン1

  • 物品の製造をフリーランスに委託する場合
  • 物品の修理をフリーランスに委託する場合
  • プログラム作成、運送、物品の倉庫保管、情報処理に関する、情報成果物(コンテンツ)の作成や役務提供(サービス)を委託する場合

 

*パターン1で下請法に該当するクライアント企業とフリーランス(委託先)の条件

クライアント企業

フリーランス

資本金3億円超~

資本金3億円以下(個人を含む)

資本金1,000万円超~3億円

資本金1,000万円以下(個人を含む)

 

パターン2

プログラム作成、運送、物品の倉庫保管、情報処理『以外』に関する、情報成果物(コンテンツ)の作成や役務提供(サービス)を委託する場合

 

*パターン2で下請法に該当するクライアント企業とフリーランス(委託先)の条件

クライアント企業

フリーランス

資本金5,000万円超~

資本金5,000万円以下(個人を含む)

資本金1,000万円超~5,000万円

資本金1,000万円以下(個人を含む)

以上、4つの場面には分けられますが、フリーランスに委託するのは、「プログラム」「Webデザイン」「記事ライティング」「イラスト」「写真」が大半ではないでしょうか。その場合は、パターン1の「情報処理に関する情報成果物の作成」にあたります。

いずれにしても、資本金1,000万円を超えているクライアント企業が法人格のない個人事業主のフリーランスに委託する場合は、もれなく下請法の適用を受けることになります。

 

なお、下請法の適用を受けない資本規模関係にあっても、コンプライアンス(法令遵守)の観点から、クライアント企業はできるだけ、下請法に定められたことに従うほうが望ましいです。

 

クライアント企業の法的な義務

下請法が適用されるクライアント企業は、次の4つの義務を負います。

 

1.発注書面の交付

発注するとき、クライアント企業は、次に挙げる12項目をすべて記載した書面をフリーランスに交付しなければなりません。オンライン・デジタルデータでも可能です。

  • 発注者・下請事業者の名称
  • 委託日
  • 下請事業者の給付内容
  • 下請事業者の給付受領期日
  • 下請事業者の給付受領場所
  • 給付内容の検査をする場合の、検査完了期日法律
  • 下請代金額あるいはその算定方法
  • 下請代金の支払期日
  • 手形の金額・満期
  • 一括決算方式で支払う場合の金融機関名など
  • 電子記録債権で支払う場合の電子記録債権の額や満期日
  • 原材料などを有償支給する際の品目や数量、決済方法など

 

2.書類の作成と保存

発注書など、フリーランスや副業人材への委託に関連する書類を、最低でも2年間は保管しなければなりません。

 

3.支払い期日の決定

フリーランスへの報酬の支払い期日は、発注した成果物を受け取った日から数えて60日(2か月)以内の範囲で決めなければなりません。もちろん、できるだけ短期間で支払うのに超したことはありません。

 

4.遅延利息の支払い

もし、クライアント企業が支払い期日を守らず、いつまでもフリーランスに報酬を支払わなかった場合、報酬に加えて年率14.6%をかけた遅延利息(一種の損害賠償)を払わなければなりません。

特に発注書面の交付や保存に関する1、2に違反した場合、クライアント企業に最高50万円の罰金刑が科されることがあります。

 

クライアントとなる企業がしてはいけない(禁止されている)行為

フリーランスなどに外部の人へ仕事を委託するとき、クライアント企業は次の11項目に違反してはなりません。

  • 相場よりも不当に安い報酬しか支払わないこと。
  • 報酬を一方的に減額すること。
  • 外注した成果物がフリーランスから納品されたにもかかわらず、受け取りを拒否すること。
  • 外注した成果物を返品すること。
  • フリーランスに責任がないのに、発注内容の変更や取り消し、あるいは受け取り後のやり直しをさせること。
  • フリーランスに対する報酬を支払期日までに支払わない。あるいは成果物の受け取りから60日を超えて支払期日を設定する。
  • クライアント企業が指定した物品やサービスを、フリーランスに強制的に購入させること。
  • フリーランスに金銭を支払わせたり、無償で労務を提供させたりすること。
  • フリーランスに対し、一般の金融機関で割引が難しい手形を交付すること。
  • クライアント企業の下請法違反行為を、フリーランスが規制当局(公正取引委員会や中小企業庁)に通告した場合、その報復として取引終了などをすること。
  • もし、クライアント企業が前もって、フリーランスの成果物作成や納品のために必要な半製品,部品,付属品又は原材料を「有償で」支給しているとき,報酬の支払期日よりも早い段階で、その原材料などの対価をフリーランスに支払わせたり、報酬と相殺(控除)したりすること。

 

これらの禁止行為が発覚したとき、公正取引委員会から「勧告」を受ける場合があります。

なお、勧告を受けたクライアント企業は、再発防止のための改善報告書などの作成や提出を求められます。さらに企業名も、もれなく公正取引委員会のホームページに公表されてしまいますので、コンプライアンスの観点からもいいことはありません。

特に悪質と判断された場合は、立入り調査を受ける場合もあります。

 

下請法の内容を決して軽くみることなく、フリーランスや副業人材との間で、できるだけ対等な取引関係を維持するようにしましょう。