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【フリーランスのよくあるトラブルと対処法】成果物の品質が上がらない・修正に対応してくれない、どうする?

 

企業にとっては、外部のフリーランスに外注して、活用できるかどうかが、生産性を高めて事業を拡大できる鍵となります。

従業員をひとり雇用するのでしたら、採用するまでにも広告や面談、連絡などにコストがかさみますし、採用してからも社員教育や毎月の社会保険料などでやはりコストが加算されます。さらに、従業員をひとり解雇するのも、法的なハードルが高いので、なかなかできるものではありません。

 

一方、フリーランスに外注するのでしたら、依頼するまでのコスト、依頼してからのコストは、従業員を雇用する場合に比べて大幅に削減できます。さらに、雇用によっては確保できないような専門性の高い人材に継続して依頼できるメリットもあります。

 

ただ、フリーランスの仕事を活用するにあたって、「できあがってきたものの品質が上がらない」「修正をお願いしても、なかなか対応してくれない」という壁に直面している外注担当者も少なくないようです。

では、どのような対策を採ればいいのでしょうか。

 

事前に「サンプル」を書いてもらう

そもそも、「品質の高いものを作れない」フリーランスを見極めるためには、採用前に簡単なサンプルを見せてもらうことが重要です。ある程度の経験があるフリーランスは、過去の作品集をポートフォリオとして保存していることもあります。その内容を検討して、求めているスキルやジャンルが合っていれば、依頼することもできます。

問題は、ほとんど経験がないフリーランスに依頼する場合です。そのスキルは玉石混交で、「この報酬で、これだけのクオリティで仕上げてくれるのか」と驚かされることもあれば、逆にひどく失望させられることもあるでしょう。

 

その失望をできるだけ回避するための、最も確実な方法が、事前に「サンプル原稿」を書いてもらうことです。クライアント企業側がお題を設定して、条件に沿った原稿を書いてもらうことで、その最低水準をあらかじめ見極めることができます。

 

経験のあるフリーランスにもサンプル原稿を書いてもらったほうがいい場合があります。ある特定のジャンルでは膨大な知識があり、卓越した実績を誇っていても、そこから少しズレたジャンルでは、とたんに実力を発揮できなくなるケースも十分にありうるからです。

ただし、そのサンプル原稿を審査する側である担当者も、最低限の知識や客観性を持っていなければなりません。文章やイラスト、デザインなどで、たとえ個人的に気に入っていても、それが直接的でも間接的でも、企業にとっての売上アップに繋がると思えなければ、それは不採用にしなければなりません。そうした厳しさも求められるのです。

 

原稿料が安いのに修正を求める

最初のサンプル原稿のクオリティはよかったのに、仕事を依頼しているうちに、徐々にクオリティが下がっていっているとすれば、それは何らかの感情的な問題が絡んでいる可能性があります。

 

忘れてはならないのは、仕事を依頼するということは「他人の時間を買う」ことを意味する点です。

プロのフリーランスに仕事を依頼するのは、その人の技術だけでなく、時間を使わせるわけです。人にとって時間とは、命そのものです。かけがえのないものですから、決して安く買いたたいてはなりません。

まるで、企業の雇用関係の中にある上司が部下に指示するのと同じように、フリーランスに指示することは大きな間違いを生じさせかねません。

 

業務時間の中で、上司は部下に対して指示し、命令する権限がありますが、その代わり、部下には毎月定額の給料が保証されます。

しかし、外部のフリーランスはクライアントから雇用されている関係にはありませんので、お互いに自由に契約を終わらせられる代わり、お互いの立場を尊重しながらコミュニケーションを取る必要があります。

 

ですから、フリーランスへの依頼については、それ相応の有利な条件を示さなければなりません。

たとえば、技術の高いフリーランスが、最初のうち、特別に相場より安い報酬で請けてもらえることもあるかもしれませんが、いつまでもその水準に甘えてはいけません。

それを安いままで漫然と使い続けていれば、フリーランスの心は離れていきます。あなたの会社からの依頼の優先順位が下がったとしても、それは身から出たサビです。その場合、報酬を相場以上に引き上げただけで、成果物のクオリティの問題は解決することが多いでしょう。

 

いい部分を褒めてから修正を求める

報酬の水準は相場以上で、十分なものを支払っているにもかかわらず、品質が上がらないことがあるかもしれません。その場合、クライアントとフリーランスとの間において、コミュニケーションの「感情面」で問題をこじらせている可能性が高いです。

品質が上がらないフリーランスを一律に「能力不足」として契約を終わらせることもできます。しかし、もし最初のうちは品質の高いものが納められていたのだとしたら、それは本来、フリーランスの能力不足が原因ではありません。

 

依頼を繰り返しているうちに、いつの間にか、「クライアントの指示にフリーランスが従うのが当然」だという前提のコミュニケーションをとっていないでしょうか。

成果物に対する修正を求めるときには、ねぎらいや感謝の気持ちと同時に「その作品のいいところを褒める」ようにした上で問題部分を指摘するよう心がけると、フリーランスのモチベーションはむしろ上がります。

フリーランスの仕事ぶりを褒めることができるクライアントは少ないため、これをできるだけで、フリーランスの中での貴社の重要性や優先度が高まります。すると必然的に、成果物のクオリティも高まっていくでしょう。

褒めるときには、客観的に評価するような立場でなく、ひとりの読者・利用者の立場で素朴な感想として伝えたほうが、より効果的です。

 

まして、修正事項をあいまいに伝えたり、なぜ修正すべきなのか理由を伝えずにいたりすると、知らず知らずのうちにフリーランスに不満が溜まり、モチベーションが下がっていきます。モチベーションが下がれば、その仕事へ投下する熱意や時間も低下し、成果物のクオリティも自ずと下がっていくでしょう。

成果物に対して、何度も繰り返し修正を求めるのも、モチベーションを大きく下がる原因です。これも既に述べましたとおり、修正対応によって相当な時間を奪うことになるためです。

できるだけフリーランスの負担を減らし、やる気を損なわない方向でコミュニケーションを取れば、できあがる成果物の品質は自然と上がっていくのです。