フリーランスに依頼するときに、どうしても必要となるのが、情報伝達、コミュニケーションです。
このコミュニケーションでつまずいてしまい、フリーランスとの関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。
コミュニケーションがギクシャクすると、お互いに仕事でストレスがかかりますし、フリーランスが作成する成果物のクオリティにも影響が生じてしまうものです。
では、フリーランスに外注する企業が、どのような点でコミュニケーションにつまずきがちで、どうすれば改善できるのかについて解説いたします。
もくじ
指示するときは、できるだけ具体的に、文章で伝える
どんな成果物を納品してほしいのか、必ず具体的に指示してください。修正を指示する場合は、なおのこと具体的に説明しなければなりません。
忙しい担当者や、その分野について知識が少ない担当者は「もう少し親しみやすい感じで」「もっとわかりやすく」「普通でいいですよ」などと、感覚的・抽象的な言葉を使ってしまいがちですが、フリーランスの側は、その意図を把握するだけで心理的な負担になることもあります。
「もっとわかりやすく指示してください」と、ハッキリ言えるフリーランスは少なく、ほとんどが遠慮して、「こういうことだろうか?」と、担当者の意図を想像・補完しながら制作します。しかし、そのせいで修正が繰り返されて、時間の無駄になるおそれも出てきます。
具体的に指示できないようでしたら、最初からフリーランスに任せたほうがいいです。
電話やオンラインミーティングでのやりとりも結構ですが、その後には指示内容を必ず文章にまとめて送るようにしましょう。口頭だけでの指示は「言った、言わない」のトラブルに発展しかねないからです。
指示するときは、複数の「見出し」に分ける
ただ、クライアントからの指示を文章で書けば、すべて解決するわけでもありません。
指示を思いつくがままに長文で書いてしまうと、行き違いの原因となり、意図とずれた成果物が納品されてしまうおそれを生じさせます。
なぜなら、ひとつの文章の中に、いくつもの指示が混じってしまったり、脱線が含まれていたりすると、「今、何を伝えたいのか」が伝わりにくくなる可能性があるからです。
数行程度の文章なら許容範囲ですが、指示項目が多くなりそうなら、テーマごとの「見出し」を立てましょう。そして、その見出しに関係のない指示を一切書かないように心がけると、わかりやすくなります。
また、送信前に一度は指示内容を読み返し、読みにくい部分や誤解を与えかねない部分が残っていないか、フリーランス目線で再確認するようにしましょう。
経験豊かなフリーランスに対する「一方的な指示」にご注意
フリーランスとの間柄でしばしば生じやすいのは、「完全管理型」のコミュニケーションです。
たとえば、ウェブサイトに記事型のページを網羅的に多数載せることによって、Googleなどの検索順位で上位を目指し、できるだけ多くの見込み客を獲得しようとする「コンテンツマーケティング」のため、安価で大勢のフリーランスライターを活用する場合に起きます。
少数の担当者で、多数のフリーランスを動かそうとすれば、「型にはめる」「表記などのルールを守らせる」「連絡手段を固定する」「余計なことをさせない」という、一方的なコミュニケーションになりがちです。
確かに、未経験あるいは経験が乏しいフリーランスを活用するなら、そのような「完全管理型」もある程度は正当化されるでしょう。むしろ「クライアントから何も指示されないほうが不安になる」という人もいます。その場合は、クライアントが設定したルールの中で育てていくほうが、関係も長続きしやすいでしょう。
ただ、自身でもアイデアを出すことができる経験豊富なフリーランスに対してまで「完全管理型」で押し通そうとすれば、フリーランスの側に不満が溜まるか、そのフリーランスの技術や可能性を引き出せないまま終わるかのどちらかです。
個性や実績を尊重した上で、ある程度は任せる
会社に属さずに活躍しているフリーランスは、自分自身の技術や実績、専門性に、誇りを持っています。そのプライドをくすぐって、ある程度はそのフリーランスの判断、裁量に任せられるかどうかが、その後の信頼関係を築いていけるかどうかの鍵となります。
たとえば、フリーランスが今まで作成してきた成果物を、ポートフォリオとしてまとめている場合には、その成果物のいい部分を褒めることを忘れないようにしましょう。褒めるといっても、上から目線の評価ばかりにならないよう、「個人的には、この作品のここが好き」など、担当者の主観を絡めた感想も交えると印象がよくなりやすいです。
しかし、ただただ褒めるだけでは「媚びている」と感じさせて、今度はフリーランスの側が無意識のうちに、上から目線でコミュニケーションをとってきてしまう可能性があります。
また、フリーランスの個性も、ある程度は尊重すると、信頼関係を築きやすくなります。
個性といっても、難しく考える必要はありません。仕事関係をドライに進めたいか、それともウェットな繋がりを求めているのか、その2方向のどちらかを掴めるだけでも、コミュニケーションはかなり円滑になるはずです。
前者であれば、仕事に関する指示をとにかく明確に、スピーディーなやりとりを重視すべきですし、後者であれば、担当者のプロフィールや近況も、ある程度は自己開示した上で、仕事と関係のない話題も混ぜ込んだほうがいいでしょう。