企業にとっては、フリーランスを活用して外注できるかどうかが、その後の業績をも左右します。
正社員を採用するよりも、時間や費用、教育の手間などがかかりませんので、大幅なコストカットになります。それに、簡単には採用できないような高度な専門性を持つプロフェッショナルの力を借りることもできます。
しかしながら、依頼していたフリーランスと突然連絡が取れなくなることも少なくありません。いったん仕事が完了し、しばらく経ってから再依頼しようとしたら連絡が取れなくなるケースもありますし、中には依頼した仕事が完了していないのに、行方をくらます不誠実に見えるケースもあります。
はたして、どのような理由が考えられるでしょうか。
もくじ
機械トラブルや突発的な事情に巻き込まれた
たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- ネット回線が繋がらなくなった
- PCやスマートフォンが故障・紛失した
- 急病にかかって入院していた
- 身内の不幸に追われた
- 自然災害や交通遮断などで、自宅に帰れなくなっている
連絡を取りたくても、どうしても取れない場合など、フリーランスの方にとって過失がないケースもありえます。
再び連絡が取れるようになったとき、頭ごなしに責めるのではなく、まずは何があったのか、事情を質問するようにしましょう。
予防策としては、できるだけ複数の連絡先を確保しておくことが望ましいです。通常は、メール・SNSのDM・電話番号(できれば自宅と携帯の双方)を把握しておけば十分です。
そもそも、急病で入院した場合など、連絡手段がいくつもあっても先方の事情で返信や返答の対応ができないことがありえます。もし、急病で連絡が取れなくなっていた場合は、身体を気遣う言葉や「お大事にしてください」のひとことがあるだけで、フリーランスはクライアント企業を信頼するようになるものです。
あまりにも多忙
フリーランスによっては、一時的に忙しくなりすぎて、連絡をとる余裕をなくしているケースがあります。作業中は仕事に集中するため、スマートフォンの電源を切っている場合もありますし、電源を入れ忘れたまま就寝するなどして、しばらく音信不通になってしまう場合もあるでしょう。
「こなせないほどの量の仕事を入れすぎるのも、能力不足のうち」と責めることもできますが、フリーランスはどんなに突発的な事情でも、仕事を代わってくれる同僚がおらず、自分の名前で責任を持って納品しなければならない孤独な存在です。
クライアントとしては、多忙のために連絡が取れなくなっても、そのフリーランスを一度ぐらいは許す心の余裕を見せたいものです。
勘のいいフリーランスであれば、それをきっかけに反省し、再発防止に努めます。
ただ単に怠けていた、忘れていた
このケースは、能力の低い一部の不誠実なフリーランスしかやりません。ただ、付き合いの浅い相手であれば、こうしたトラブルが起きる可能性があります。
厄介なのは、ただ怠けていて連絡を返さなかっただけなのに「すみません、急に倒れて入院していました」などとウソをつくため、他のまともなフリーランスと区別が付かない場合がありうる点です。
予防策としては、他社から評判のいいフリーランスについて紹介を受けることが最も確実です。また、オンラインのフリーランス紹介サイト(ランサーズやクラウドワークスなど)で、レビューでの評判がいいフリーランスを選ぶことも重要です。こうしたフリーランスは、多少は報酬が高くてもしっかりと仕事をこなして結果を出してくれるので、長い目で見れば安心できます。
以前の依頼で無理な要求をされたので、嫌気がさした
じつはクライアント側に大きな責任があるケースもあります。
クライアントの態度や要求に嫌気がさしているフリーランスは、意外と多いので、発注する際は気をつけなければなりません。
主な原因として、「力や立場の差を都合よく利用する」「過去の発言と矛盾したことをする」といった場合が考えられます。
力や立場の差を都合よく利用する
- フリーランスが質問や確認をしているのに、まともに答えず、はぐらかす
- 何度も修正要求を繰り返して、正式に納品させてくれない
- 「業務に必要」という理由で、クライアントが指定する商品やサービスを買わせる
- 依頼を受けるにあたって、フリーランスに手数料などの名目でお金を払わせる
- 無報酬で追加の仕事をさせる
過去の発言と矛盾したことをする
- 「お任せします」と言っておきながら、要求が多い
- 後になって依頼内容と違う要求をしてくる(謝罪もない)
- 予告されていた期日を過ぎても、報酬が振り込まれない
- 予告していた額の報酬が振り込まれない
フリーランスが不誠実だと思っていても、じつは先に発注元のクライアントが、知らず知らずのうちに不誠実な対応や要求をしていることがあるのです。
これでは、再依頼をしようとしたとき、返信がなかったとしても仕方ありません。くれぐれもお気を付けください。
特に、
- 納品したものの受領を拒む(受領拒否)
- 納品後、報酬を期日までに支払わない、期日を受領後61日以上先に設定した(代金の支払い遅延)
- 一方的に報酬を減額した
- 相場と比べてあまりに低い報酬額を設定した(買いたたき)
- クライアントの指定物を強制的に購入させた
- フリーランスから不当に金銭や労力を提供させた
……これらの対応は、クライアント企業が下請法違反に問われる可能性があります。
公正取引委員会の判断で、立入り検査や改善勧告を受ける場合がありますのでご注意ください。