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フリーランスへの依頼の仕方|クライアント企業の担当者が気をつけるべきたったひとつのこと

 

同じ職場の社員同士のコミュニケーションなら、あうんの呼吸でスムーズにいくこともあるでしょう。しかし、ほとんど面識のない外部のフリーランスに依頼するときにも、スムーズに進められるとは限りません。

 

日本人は、すべて言わなくても以心伝心で伝わっていくことを理想としがちですが、社外のフリーランスに以心伝心を求めるのは厳しいです。

では、フリーランスに依頼するときには、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか?

 

依頼は「箇条書き」にすると、うまくいく

クライアント企業のオフィスに常駐しているフリーランスであれば、口頭で説明したり、質問されたらその場で答えて……というコミュニケーションを簡単にとることができます。

しかし、それ以外のフリーランスに対しては、メールやチャットツールなどで連絡を取り、文章だけで依頼することになります。

 

そのため、細かいニュアンスが伝わらない可能性があります。

また、担当者が文章でまとめる力が無ければ、肝心なところが抜けていたり、間違って伝わったりするリスクもあります。

 

こうした事態に陥ってしまった場合、納品された後に「いや、違うんです。ここは、こういう意味でした」と釈明しても、二度手間になってしまいますし、急ぎの案件でしたら修正する時間もありません。

依頼内容がスムーズに伝わっていないということが、さまざまなトラブルを生じさせる原因となるのです。

 

クライアントとフリーランスの力関係の差を利用して、「依頼内容を正確に読み取れなかったそちらが悪い」と、フリーランスに責任を押しつけようと思えば、押しつけることができるかもしれません。

しかし、そのせいで優秀なフリーランスに愛想を尽かされ、その後の契約を断られてしまえば、長い目で見て企業の損失にも繋がりかねません。

よって、文章を使ってフリーランスに依頼するときは「わかりやすく」「誤解がないように」するのが基本です。

 

わかりやすく誤解のない依頼をするには、「箇条書き」を使うのがコツです。

たとえば、このような具合です。フリーランスのライターに対して、ウェブに載せる記事の作成を依頼する場合です。

 

  • 依頼内容 SDGs経営に関して

 ・ SDGsに加えて、もうひとつ、キーワードを選定して加えていただきます。

 ・ タイトル文、HTMLタグ付け、SEO対策は、当社で行います。

  • 分量 2000字程度(多くても2500字)
  • 本数 5本
  • 納期 〇月〇日〇時
  • 原稿料 〇〇〇〇円/本
  • 原稿料支払期日 〇月〇日まで
  • 注意点

 ・ 他人の著作権を侵害しないよう、原稿制作をお願い致します。ツールで確認し、ネット上で重複度の高い記事が発覚した場合は、書き直しをお願いすることがあります。

  • 見出しには、SDGsほか、設定したキーワードを必ず入れるようにしてください。

 

ただし、この例文も、誤解を与えるかもしれません

例文として出した依頼文にも、ややわかりにくく、誤解を与えかねない部分が残っています。

依頼内容では「SDGsに加えて、もうひとつ、キーワードを選定して加えていただきます」、記事の制作本数が「5本」とありますが、

  • 5本とも同じキーワードで書くのか
  • 5本それぞれ違うキーワードを選んで書くのか

…が、依頼内容からは読み取れません(あるいは、あるキーワードで2本、別のキーワードで3本という場合もあるかもしれません)。

 

依頼文に「ご不明な点があれば、お問い合わせください」と書いていれば、フリーランスの側も質問がしやすいかもしれませんが、それでも確実とはいえません。

たとえば「5本とも同じキーワードで書くに違いない」と思い込んで書き始めたライターは、その点で質問することもありません。納品された原稿を読んだときに「5本とも違うキーワードで書いてほしかったのに!」「どうして質問してくれないのか」とフリーランスを責め立てても遅いのです。

こうしたトラブルを避けるためにも、依頼文は、送る前にもう一度読み返して、あらかじめ伝えておかなければならない箇所が漏れていないかを確認するようにしましょう。

 

また、依頼を受ける立場になったとき、この依頼文はどういうふうに読み取られる可能性があるかを考えてみます。あなたの意図と、食い違うふうに伝わる可能性が少しでもあれば、修正しておかなければなりません。

フリーランスに依頼するときの、ほんの一手間が、その外注がスムーズに行くか、トラブルに見舞われるかの大きな分かれ目となります。

 

ちょっとした嫌がらせのつもりが、違法行為に!

クライアントとフリーランスでの力関係の差を利用して、フリーランスに嫌がらせをする担当者が、残念ながらいるようです。

  • 納品されたものの受け取りを拒否する
  • 依頼したときに約束した報酬を、一方的に減額する
  • 報酬の振り込みをわざと遅らせる

 

こうしたことを、ちょっとしたストレス解消のつもりで、軽はずみに行ってしまうと、下請法違反の行為になりえますので、注意してください。

※下請法について詳しくは、以下の記事をご覧ください
フリーランス・副業人材を受け入れるなら、決して軽く見てはいけない「下請法」の基本

 

悪質な場合は、クライアント企業に対して、中小企業庁による立入り検査や行政指導が行われることもあります。外部発注の担当者となるあなたも、何事もなく無事ではいられませんので、フリーランスへの嫌がらせは極力、避けるようにしてください。