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外部ライター向けの「ライティングマニュアル」を作成するときの注意点

 

ライターは一人ひとり、文体や癖が違います。それを「個性」として受け止め、表現できるサイトであれば問題ないのですが、コーポレートサイトやメディアで、ある程度、文体や内容を統一したいこともあると思います。また、管理を効率化するといった意味で、マニュアルが必要になることもあるでしょう。

マニュアルを作成すること自体は、もちろん問題はありません。ですが、そのマニュアルによって、問題が引き起こされる可能性があります。

そこでこの記事では、フリーランスのライターに向けて、執筆マニュアルを作成するときの注意点を中心にお伝えしていきたいと思います。

 

経験が少ないライターを使うときには効果的

執筆マニュアルを事細かに作っているクライアント企業も多いと思います。実は、これ自体が、経験豊富なライターからは「仕事を受けたくない」と敬遠されやすい理由のひとつになっています。

なぜなら、細かいマニュアルが用意されていること自体で、クライアントからの一方的な指示が多い印象を与えてしまうからです。ベテランライターに依頼する場合は、基本的には「任せる」のがおすすめです。任せた上で、自社のサイトやメディアにマッチしないと感じたときは、文体や方向性についてすりあわせをすればいいのです。

 

一方、副業でライター業を始めたばかりの人や、体験談やレビューなど簡単な記事を作ってもらう場合には、むしろ、マニュアルがある方が親切です。

また、たくさんのライターに同時に依頼をして、一人で管理しなくてはならない状況であれば、マニュアルは必要不可欠であるといえるでしょう。ライターを新たに採用するたびに、同じことを繰り返し伝える手間が省けるからです。

 

 

最初は、表記ルールにとどめておく

どうしてもマニュアルを作るのであれば、必要最低限にとどめておくべきです。段落ごとの文字数や改行の位置、使っていい単語などを決めるのは、明らかにやりすぎです。できれば、表記ルールのみにしたいものです。

表記ルールとはたとえば、

  • 文字数:1500字の原稿の場合、「必ず1500字以上でなければならない」あるいは「1500字プラスマイナス5%未満に納める」など)
  • 文体:「常体(だ・である調)」「敬体(です・ます調)」のどちらにするか

など基本的なことは、クライアントが決めておいたほうが書きやすくなります。

 

このほか、漢字をひらがなに書き換えるケース(「漢字をひらがなに開く」といいます)を伝えておくのもいいでしょう。

  • 言う→いう
  • 所謂→いわゆる
  • 及び→および
  • 且つ→かつ
  • 又は→または
  • 下さい→ください
  • 事→こと
  • 様々→さまざま
  • 従って→したがって
  • 全て→すべて
  • 但し→ただし
  • 時→とき
  • 等→など
  • 良い→よい

 

ただし、これもやり過ぎには注意しなければなりません。

たとえば『朝日新聞の用語の手引』のような、伝統的な表記統一マニュアルを使わせるのは、好ましくありません。

新聞記者だって『用語の手引』をすべて把握しているわけではありません。大手新聞社のように専門の校正者がいる場合であれば、校正の責任として読者に違和感をおぼえさせずに記事を読んでもらえるよう、事細かな『用語の手引』を用意することが正当化されます。

ですが、Webライティングには、これは当てはまりません。膨大な表記統一の縛りをライターの責任として課すのは、本末転倒です。

なお、ライターによっては表記の癖を持っている場合がありますので、ひらがなに開くべき部分を一部、漢字に直し忘れたからといって、それだけでライティング能力の評価を下げるといったことも避けましょう。

 

また、最近では、SEO対策のために「見出しには必ず冒頭にキーワードを入れなければならない」などのルールを課しているクライアントもあります。

意図としては十分にわかりますが、これもライターに求め過ぎるのはNGです。SEO対策は年々変わりますし、サイトやメディアごとに行なっている対策も違うものです。そのすべてを把握しているライターはいません。

自社のマニュアルが唯一の正解ではなく、あくまでも「ローカルルール」であることを念頭に置き、ライターと協力して記事を作り上げるという意識を持つことが必要です。

 

マニュアルの「継ぎ足し」に注意する

ライターとトラブルがあるたびに、マニュアルに禁止事項を加えたがるクライアントもいますが、これもライターの定着を妨げる要因になりえます。

更新されたマニュアルの差分が、ただ追加されていくだけでは、新たに参加したライターが、マニュアルの全体像を把握できなくなります。継ぎ足されたマニュアルと過去にあったマニュアルが混在しているだけで、最新のマニュアルが何なのかわからなくなってしまうからです。

これを「ライターの理解力が不足しているせい」だと責め立てるのでなく、自社の責任でマニュアルを適宜、更新していくべきです。

「XMind」「MindMeister」などのマインドマップソフトを使えば、マニュアルを体系的に整理しやすくなります。